ブルーシャ西村 text by BRUIXA NISHIMURA >>WEBサイトはこちら
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 皆様、お元気でお過ごしですか?いつもご愛読いただいてありがとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 ニューヨークは、今年は異常気象で12月半ばになっても暖かかったのですが、だんだん寒くなってきました。12月は面白いダンス公演がたくさんあったので、今月号、来月号にわたってレポートをお送りいたします。


パブロ アスランズ アバンタンゴの「タンゴ!」

 11月11日に、アルゼンチンタンゴの生演奏公演が、NYUスカーボールセンターで行われました。これは音楽の公演ですが、ゲストダンサーたちが本格的なアルゼンチンタンゴの踊りを披露するので、ダンスを鑑賞するために観に行きました。とても良かったです。行って大正解でした。日本の流行はどうなっているかよく存じませんが、ニューヨークはタンゴを習っている人たちがとても多くて、大盛況です。この公演の会場も満員で、チケットはソールドアウトでした。タンゴは、大人になってからでもやり始めることができるダンスなので、人気が高いのでしょうね。

 バンド名は、パブロ アスランズ アバンタンゴです。メンバーはほぼ全員生粋のアルゼンチン人です。ジャズとタンゴを混ぜて現代的にアレンジしたものでしたが、オーソドックスなタンゴ演奏が多く、私から見れば、エキゾチックでとても面白かったです。ゲストで、バークリー音楽院で勉強中の女性歌手が歌を数曲歌いました。


フランシスコ&ナターリャ

サンドール&パリッサ

 ダンサーたちは男女ペア2組で、フランシスコ・フォルケーラ&ナターリャ・ヒルス、サンドール&パリッサです。公演の演奏中、ほとんどの曲がダンス付きで、ダンサーたちはかわるがわる、ずっと出ずっぱりでした。本格的なアルゼンチンの人たちのタンゴなので、見応えがありました。すごい勢いで、男性が女性をビュンビュン振り回して、女性は足を跳ね上げたり、リフトされて上で回転する難易度の高い技を入れたり、とても面白かったです。女性を上にかついで上で10回転以上ブンブン回す大技が出た時には、会場はどよめきと拍手で埋まりました。

ジョージ・バランシンの『くるみ割り人形』

 毎年恒例の、この季節の風物詩になっている、ニューヨーク・シティー・バレエの『くるみ割り人形』の公演が、11月24日から12月30日まで、リンカーンセンターで行われました。私もできるだけ毎年この公演を観に行っていますので、このコラムにもレポートを書かせていただきました。この公演は冬のニューヨークの名物なので、新しい読者の方々のためにも、できるだけ毎年レポートいたします。

 チャイコフスキーの音楽に乗せた、ジョージ・バランシン振付の作品です。1954年の初演以来、毎年上演を続けていて、今ではニューヨーク・シティー・バレエの伝統になっています。それだけのことあって、とても大掛かりな舞台セットと衣装で、豪華絢爛な、クラシック・バレエならではの舞台です。日本の皆様も、もし将来この季節にニューヨークにお越しの際には、ぜひ一度ご覧になってみてください。開演時間は、子供連れの方でも観やすいように通常よりも早い時間帯の、1時、2時、5時、6時の日が多く用意されています。会場は、可愛く着飾った子供連れがとても多いです。

シュガープラムフェアリー:
Jenifer Ringer

 途中で巨大に天井に伸びて、大きくなるクリスマスツリーは、なんと1トンもあります。マザージンジャーの衣装は、85ポンド(40キロくらい)もあるそうです。大掛かりな装置が多いです。出てくるダンサーたちも大人数で、子供のダンサーたちもたくさんいます。

 NYCBの演出では、主人公のプリンセスと王子は、小さな子供が演じています。8歳から10歳くらいの小さな子供のペアです。ですから、主人公の踊りはほとんどなく、演技だけです。主人公たちは、舞台の一部や端っこで、大人たちのフェアリーなどの踊りを観ているだけです。主人公の女の子の名前は『くるみ割り人形』ではクララが多いと思いますが、NYCBではマリーです。第二部のお菓子の国でも、マリーと王子は、リトル・プリンセス&リトル・プリンスと配役がプログラムに書かれ、後ろに備え付けられたイスにちょこんと2人で座って観ているだけです。



スノウフレークス

マザージンジャー

 一番好きなシーンは、第一部の最後の、スノウフレークスの踊りです。真っ白な雪に覆われた家の外の舞台背景で、たくさんの女性ダンサーたちが雪の結晶に扮して、真っ白な衣装で踊ります。両手には、白いボンボンが5つついた扇子の骨組みのようなものを持っています。たくさんの雪が舞台上から降り続けているので、とても綺麗です。このシーンは、何回観ても、本当に雪の妖精のようで美しいです。冬らしくとてもいいシーンだと思います。

 第二部は、子供が大好きなお菓子の国。舞台一面がお菓子の装置で覆われていて美味しそうなのか、会場の子供たちは、幕が上がっただけで“ワー”と歓声を上げていました。ホットチョコレート、コーヒー、ココア、キャンディーケーン、マジパン、マザージンジャーとその子供たち、デュードロップ、フラワーなど、色々な踊りが次々にありました。


ピナ・バウシュの『ネフェス』

 12月8日から16日まで、BAMにて、ピナ・バウシュの『ネフェス』の公演が行われました。タンツテアター・ヴッパタールというダンスカンパニーです。以前から彼女の作品を観てみたかったので、とても楽しみにしていました。

 ピナ・バウシュは1940年、ドイツのゾーリンゲン生まれで、1955年からドイツ、エッセンのフォルクヴァンクスクールでダンスのトレーニングを始めました。ドイツの国費留学生として渡米し、ジュリアードスクールでも学びました。1962年に帰国後、フォルクヴァンクバレエで踊り始め、1968年からバウシュはここで作品全体を通した振付を始め、翌年、芸術監督に就任しました。その後、1973年から、タンツテアター・ヴッパタール芸術監督と振付家に就任しました。

 ダンサーたちは20名で、2人の日本人が出演していました。瀬山アズサ、高木ケンジです。
舞台は、ほとんど平らに近いうすいくぼみがなだらかにつくられていて、全体が黒いシートで覆われていました。なぜだか最初は分からなかったのですが、舞台が進行していくにつれて、だんだんとそのくぼみに水たまりが1つ湧いてきているのに気付き始めました。最初はその水たまりがまるで下から泉のように湧いているように見えて、だんだんみずたまりが大きくなっていくので不思議に思っていました。水たまりの面積が大きくなるにつれて、よーく水面を見ると、天上から、ポタッポタッと1滴ずつ水が落ちてきているのが分かりました。それでだんだん水たまりがいつの間にか大きくなってきていたのです。

 踊りは、全部がソロかペアの連続で、セリフもあり、演劇的な要素も強いです。バウシュ独特の世界が出来上がっていて、メルヘンのようで、とても面白かったです。振付も奇妙なものが多くて、彼女の作品の強烈な独特さに驚きました。ダンサーたちも不思議で、全員女性は髪の毛が長めでした。一人、とても年配の女性ダンサーがいましたが、彼女が一人混じることによって、これまた独特な味をかもし出していました。

 第一部が終わる直前に、だんだん水たまりに上から落ちてくる水敵の数が増え始めて、突然、ザーッとものすごく大量に上から30センチくらいの幅で一筋に、すごい勢いで水が降ってきました。この水は、とても美しかったです。

 第二部は、すっかり大きくなって池のようになった水たまりは、さらにだんだん少しずつ大きくなり、まるで池の周りのあっちこっちで、関連性のないショートのダンスや演技が次々に行われているようでした。でも不思議な感じで面白くて、彼女の世界に引き込まれてしまいました。絵本の中の世界のようです。これは不思議で楽しくて、感動しました。舞台が終わった後も、しばらく余韻に浸っていました。またぜひ彼女の作品を観たいです。


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