サンフランシスコ・バレエ、モリスの『シルヴィア』ほか
リンカーン・センター・フェスティバルで、サンフランシスコ・バレエの公演が、7月21日から30日まで行われました。このカンパニーは、1933年に創立されました。大き目の会場の、ニューヨーク・ステート・シアターで上演され、ニューヨーク・シティー・オペラ・オーケストラが音楽を演奏しました。音楽が録音ではなく生演奏だったので、迫力がありとてもよかったです。私が観た公演は、『シルヴィア』とレパートリーの小品集です。芸術監督と振付家は、ヘルギ・トマソンです。
『シルヴィア』は、コンテンポラリー・ダンスで著名な、マーク・モリスの振付けの作品でした。振りはクラシック・バレエでしたが、ところどころ観客を笑わせるギャグの要素を入れていてユーモラスでした。4拍子の音楽で、3拍ずつの一連の動作で繰り返し動いていく振付が多かったので、これは彼の特色のひとつなのでしょう。ダンサーたちはとても技術的にもレベルが高かったです。 |
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「ミックスド・レパートリー」は、小品集です。3つの作品でした。すべてバッハの曲を多用しており、バロックの重厚なリズムと和音にのった厳かな感じでした。一つ目の『7フォー8』は、ヘルギ・トマソンの振付によるものです。7つのシーンを、8人のダンサーを組み合わせて踊りました。全体的に、男女ペアで踊るところがほとんどで、リフトを多用していました。
2つ目の『クオーターナリー』は、クリストファー・ウィールドンの振付作品です。とてもゆっくりなリズムの音楽で踊るので、難しそうでした。グレーのモノトーンの衣装で、男女ペアのリフトが多く、振付は、上下の動きが忙しくて、重心が上がったり下がったりを繰り返していました。
3つ目の『アーティファクト・スイート』は、ウィリアム・フォーサイスの作品です。振付は個性的で、フォーサイス独特のカクカクしたような動きで、とても面白かったです。途中、ダンサーの位置を変えたりするたびに、何度も突然舞台の幕が下がったり上がったりしました。幕が開くたびに、ダンサーたちは、整列の仕方を変えていました。幕が長時間にわたって閉じられたときは、ずっとヴァイオリンの演奏が続きました。照明も面白く、舞台の上手から照明を当て光と影の明暗のコントラストが強かったです。ダンサーたちが暗闇に浮き上がり美しかったです。
ヤスミーン・ゴッダーの『ストロベリークリーム・アンド・ガンパウダー』
リンカーン・センター・フェスティバルで、ヤスミーン・ゴッダー&ザ・ブラッディー・ベンチ・プレイヤーズの、『ストロベリークリーム・アンド・ガンパウダー』の公演が7月27日、29日に行われました。
これも、コンテンポラリー・ダンスのひとつなのでしょうけれど、ダンスのジャンルといえるのかどうか、私にはよく分からない作品でした。振付としてみても、何一つ難易度の高いものはなく、簡単な動きばかりで、内容も、喧嘩や叫び、噛み付いたり泣いたりといった苦しいものばかりでした。演劇の要素がとても強い作品で、ダンスとは言いがたいと思いますが、それでも今回のこのフェスティバルで、音楽・演劇・ダンスのジャンル分けの中で、彼らのこの公演はダンスの部門として上演されていました。時々、ほかの公演でも感じますが、ダンスと演劇の境目がほとんど無いような作品がよく見受けられます。長いダンスの歴史の中で、ダンスと一口に言っても、さまざまなジャンルのダンスが枝分かれして発展してきて、育っていったのでしょう。
ヤスミーン・ゴッダーは、イスラエル出身で、11歳から両親とニューヨークに移り住み、そこでダンス教育を受けた後再びイスラエルに戻り、現在はテル・アビブに在住し活動しています。数々の振付の賞を受賞し、世界中で公演をしており来日したこともあります。
この作品のテーマは、ロール・プレイングだそうです。彼女が住んでいるイスラエルで毎日のように起こっているニュースで伝えられる出来事(爆弾や戦争やテロのこと)を表現しています。ですから、苦しみや悲しみ、叫びが多く、観客、鑑賞後に重く暗い気持ちを引きずるような公演でした。
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