ブルーシャ西村 text by BRUIXA NISHIMURA >>WEBサイトはこちら
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 皆様こんにちは。ニューヨークは涼しくなり、過ごしやすい気候になりました。
 さて、今月号は、前回に引き続き、毎年恒例のリンカーン・センター・フェスティバルのレポートの後半を中心にお送りします。今年は、ニューヨークのダンス・レポートを始めて以来、このフェスティバルで一番多くの公演を観ました。


ビル・T・ジョーンズ&アーニー・ゼーンの『ブラインド・デート』

 ビル・T・ジョーンズが芸術監督、振付家として率いるカンパニーです。彼自身もまだ現役のダンサーとしてこのカンパニーで踊っています。ビル・T・ジョーンズは、今まで140以上の振付作品を創作し、数々の賞を受賞しています。

アルヴィン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアターやリヨン・オペラ座バレエ、ベルリン・オペラ座バレエなどにも振付作品を創作し、提供しています。彼は、1988年に亡くなったダンサー兼振付家のアーニー・ゼーンとともに、1982年にこのカンパニーを創立しました。彼らは、このカンパニーを創る以前は、ソロやデュエットで振付やパフォーマンスをしていました。ニューヨーク出身でハーレムをベースにしている著名な黒人男性振付家なので、以前からちらほら話題を聞いたことがあり、一度観てみたいと私も興味を持っていました。30カ国以上、200都市以上で公演を行ってきたカンパニーです。


 ブラインド・デートとは、互いに相手を探しているような男女が、友人や親戚などを通して、お互いに初対面でデートをすることです。アメリカでは、よく行われる習慣です。
 この公演では、さまざまな人種や国のダンサーたちが、映像を交えて次々に登場し、それぞれのクエスチョンや問題や話題を示していき、走馬灯のように流れていきます。それぞれの観客が、この作品を観て、受け取り方を選んでいかなければならないという作品です。

舞台上には、大小6個のスクリーンが設置されていて、各国の文字で文章や色々な人種の人々の顔が映し出されているところから始まりました。ビル・T・ジョーンズが、スーツを着て、タバコを吸いながら出てきて、女性のヴォーカルと合わせながらソロで踊り始めました。女の子が出てきて、服を全部着替えたりした後、シーンが変わって、中東の女性ダンサーが出てきてスクリーンに映っている映像と交えて、本人も中東の踊りをしました。中国人のダンサーも出てきて、映像の中の彼の父に合わせて踊りました。兵士たちが狙撃している映像もでてきて、社会に対してさまざまなメッセージを投げかけている様子でした。

振付自体も面白かったです。モダンあるいはコンテンポラリー・ダンスの個性的な動きでした。この作品は、振付をダンス作品として楽しむというものより、観客に語りかけるメッセージ性が強い作品でした。



バトシェバ・ダンス・カンパニー

リンカーン・センター・フェスティバルで、バトシェバ・ダンス・カンパニーの、『テロファサ』の公演が、7月20日から22日まで行われました。このカンパニーは、イスラエルにあり、1964年に、マーサ・グラハムとバロネス・バトシェバによって創立されました。40名のダンサーたちと2つのカンパニーで構成され、国内外で、年間250本以上の公演を行っています。彼らは、イスラエルの文化大使のような役割を自負しているそうです。2003年にニューヨークのリンカーン・センター・フェスティバルに招聘され、そのときに私は、鑑賞して以来、とても気に入って、今回も彼らの公演をとても楽しみにしていました。見逃さずに絶対に観ようと思い、早くからチケットを手配していました。チケットは、前回も今回の公演もソールドアウトだったようです。大人気のカンパニーです。

 1990年から芸術監督と振付家はオハッド・ナハリンです。彼は、マーサ・グラハム・カンパニーやモーリス・ベジャール・カンパニーに在籍した後、1980年から90年までニューヨークに滞在して活動していました。彼の作品は、数々のダンスカンパニーで上演されています。フランクフルト・バレエ、リヨン・オペラ座、パリ・オペラ座、スペイン国立舞踏団などです。私がタップのクラスに通っているマンハッタンのダンススクールで、彼が公演でニューヨークに滞在中の期間に講師に迎えて「ナハリン・テクニック・ワークショップ」という特別クラスを行っていました。

 衣装も振付も、とてもユニークな個性的なものでした。地味なものやカラフルな柄入りの全身タイツのような衣装でした。振付は、コンテンポラリーで、数人が同じ振付をそろってしていることが多かったです。同じ振付が繰り返し、何回も出てきたこともありました。

舞台後方に小さめのスクリーンが4枚ぶら下げられていて、そこにダンサーの顔のアップが映し出されていました。スクリーンにつながっているビデオカメラが舞台上にいくつか設置されていて、ダンサーの体の一部などが同時に撮影されて、スクリーン上にアップで映っていたこともありました。

途中、2回観客を動員して、客席で立ち上がらせて動作をさせるシーンがありました。「手を動かして・・・腕を動かして・・・肩を動かして」とか、「腰をシェイクして・・・体をたたいてください」などと導いていき、客席は笑いの渦が起こっていました。ヒップホップのリズムの音楽で、客席全体を「踊れ!」と躍らせたこともありました。これは前回の彼らの公演でもみられたことでした。彼らは、観客を立ち上がらせて、一緒に何か動作をさせて、会場を盛り上げることをいつもしているのでしょうね。

途中、舞台上の4台のカメラを、真ん中に持ってきて、中心に一人の女性ダンサーが立ち、彼女を4方向から撮影して後ろの4枚のスクリーンにその体がアップで映るようにしました。体の一部だけがアップで映されているスクリーンもありました。彼女が踊って、その周りを多くのダンサーたちがぐるぐると回って取り囲んで、真ん中のビデオに写るダンサーが次々に、一人ずつ交代していきました。このシーンはとても印象に残っています。面白かったです。

 

 

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