ブルーシャ西村 text by BRUIXA NISHIMURA >>WEBサイトはこちら
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 皆様、こんにちは。ニューヨークは春のはずですが、また寒さがぶり返しています。コートを着て外出しなければならないほど、冷え込んでいます。気候がおかしいですね。
 さて、5月は初旬からNYCB(ニューヨーク・シティー・バレエ)と、下旬からABT(アメリカン・バレエ・シアター)のシーズンが始まりました。今月号は、NYCBのレポートをお送りします。来月号にABTのレポートを載せますので、お楽しみに。


●フランス出身のサバによる「サバ・ダンス・シアター」

5月13日、14日に、ミッドタウンにあるザ・フレンチ・インスティテュート・アライアンス・フランセースにて、サバ・ダンス・シアターの公演が行なわれました。サバは、ニューヨークの地元では、地道な活動を続けている、知られたダンサー・振付家です。私も以前から彼の名前を聞いていて、2回、小さなショーケースで、彼の作品を観たことがありました。

メンバーには、NYU大学院(アート・イン・ダンス&ダンス・エデュケーション修士取得)出身の日本人ダンサーの鈴木ヤヨイさんと、マーサ・グラハム・スクールとペリダンス・センター出身のムネト・トモコさんもいます。ダンサーは、サバ本人も含めて17名です。

サバは南フランスの小さな町出身で、14歳の時に事故にあい、医者の勧めでダンスを始めて、16歳でダンスの楽しみを知ったそうです。大学で園芸学を学んだ後、カンヌのダンススクールのオーディションを受け、ダンスカンパニーのメンバーとなりました。同時に、音楽のコンサバトリーで、ヴォイス・トレーニングを受けて、キャバレー・ショウで歌って踊る活動を続けました。そして、マーサ・グラハム・ダンス・アンサンブルで、奨学生として学ぶ機会を得て、ニューヨークに来ました。1996年8月から半年間、マーサ・グラハム・スクール・オブ・コンテンポラリーにて学んだ後、マーサ・グラハム・ダンス・アンサンブルに参加し、2000年5月まで続けました。

 衣装は、マトリックスのような、長いコートのようなワンピースなど、とてもセンスのいいカッコいいものばかりでしたが、なんと、サバ本人がすべてデザインして縫っているそうです! これには驚きました。アーティストですね。全体に、振付も衣装も、彼の美的センスが満ち溢れています。とてもフランス的です。彼は、忙しくて暇が無いことでしょう。

 何名か、おデブさんのダンサーがいたので驚きました。「なんで、こんな太った体型で、プロのダンサーをやっているの?」とびっくりするくらいの、ブヨブヨのおデブさんなのです。きっと、わざとおデブさんのダンサーを混ぜて入れているのでしょうね。ボンレス・ハムのようなおデブがウゴウゴと動いて踊っているので、その度にぜい肉が醜く揺れて、ギャグを観ているような愉快な錯覚に陥りました。

 サバは、キャバレー・ショウで鍛えた歌も披露していました。歌いながら踊るシーンもありました。
 一番面白かった振付は、最後の、サバのソロでした。使っている音楽も、サバ作曲のものです。踊り、振付、衣装デザイン・製作、作曲・歌までやっているのですね。変わった踊りで、リズムもはっきしなくて、速く踊ったり遅く踊ったり、とても自由に表現した、伸び伸びとした詩のようなものでした。後ろのスクリーンに、同じ踊りのビデオが流れて、その画像がミックスされて変化して動いていったので、本人の踊りとスクリーンの踊りとが合っていて、とても面白い効果を生んでいました。ソロで踊っているだけよりも、映像と組み合わせたお陰で、良くなったのでしょう。


●NYCB バランシン、マーティンス、エイフマンの4作品

 4月26日から6月26日まで、ニューヨーク・シティー・バレエの春のシーズンが始まりました。

 私は、5月11日の公演を観ました。ニューヨーク・シティー・バレエのバレリーナたちは、いつ観ても、手足が長くスタイル抜群で、美しかったです。4つの小品集です。一つ目は、1956年初演の、ジョージ・バランシン振付の、『アレグロ・ブリリャンテ』です。薄くふんわりしたパステルカラーのオーガンジーの美しい衣装でした。優雅で美しい振付で、静止してポーズを見せるシーンがとても多かったのが特徴です。

『タランティラ』は、1964年初演の、ジョージ・バランシン振付です。民族衣装を着て、タンバリンを持って鳴らしながら踊るポルカでした。男性のソロの時に、タンバリンを鳴らしながらとても高いジャンプを繰り返していて、観客はどよめいていました。バレエとはちょっと違う趣向の、面白い振付でした。

『Tala Gaisma』は、ピーター・マーティンスの振付で、今年5月が初演の新作です。とても長い作品でした。クラシックベースですが、コンテンポラリーに近い新しいスタイルの振付です。3人の女性は肌色っぽい全身のレオタードのみ、一人の男性は黒の全身レオタードで登場しました。全員、スタイルが抜群で、とてもカッコよかったです。音楽は、リズム無しの、ストリングスのみのものでした。次々に、女性を替えて、一人の男性がペアで踊るシーンが多かったですが、それぞれに振付の雰囲気が違っていて、工夫がされていました。

『Musagete』は、ボリス・エイフマンの作品で、2004年6月初演のものです。とても長い作品でした。これは、舞台装置が凝っていました。巨大な透明の筒状のものが、真ん中で2つに割られたような感じでした。最初、下に小さな車輪がついて滑るようにしてあるイスが真ん中に置かれてあり、その上でダンサーが動いて踊りました。静かなゆっくりした曲で始まりました。やがて奥の黒いカーテンが下だけ開いて、9人のバレリーナたちがバーのレッスンをしている足だけが見えていました。

 バレリーナたちが消えた後、男女のペアの踊りがありました。その後、だんだんとたくさんのダンサーたちが出てきて、色々な振付の踊りが展開されていきました。現れた長い黒い布の上にダンサーが乗り、その布に引っ張られて舞台袖に途中で消えたり、バーが出てきてそれを使って男女ペアでレッスンのような振付を踊ったところが、とても個性的でした。



『タランティラ』

『Tala Gaisma』

『Musagete』
 

 

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