ブルーシャ西村 text by BRUIXA NISHIMURA >>WEBサイトはこちら
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 ニューヨークはすっかり春になり、桜も満開です。このコラムは、お陰様で私の担当になってから2周年を迎えました。 ご愛読くださってありがとうございます。2年経ったので、今までと同じような公演のレポートを繰り返すだけではなく、何か現地独自の取材も入れていきたいと考え、 興味深いダンス関係者たちのインタビュー特集を徐々に増やしていきたいと思います。自分の足で集めてきた他の媒体に無い情報のほうが、読者の皆様に喜んでいただけることと思います。

 さて、今回は、今が旬の世界的ダンサー、ABTプリンシパルの、アンヘル・コレーラのインタビュー取材に成功しました! ラッキーですね。 私はスペインに留学して6年間住んでいたので、実は未だに英語よりスペイン語のほうが楽なのです(笑)。 アンヘルも、私は日本人なのに彼の母国語を完璧に話すのでとてもご機嫌で、打ち解けて色々なことを話してくださいました。性格の良さそうな人でしたよ。 話が弾んで止まらず、彼は次のインタビューに30分以上遅れて走っていったほどです。大成功です。 ジャーナリストなのでインタビューすることは慣れていますが、一番大事なことは相手を緊張させず、リラックスしていただくように努めることで、そうして相手にたくさん話をしてもらいます。 これは何度も場数を踏んで学んだことです。アンヘルの進行中のプロジェクトを追って、またインタビューする約束をしてきました。

 また私の方も、プロジェクトが進行中ですので、お知らせいたします。私の音楽をCD化してくれるプロデューサーが3月末に見つかり、4月半ばから音楽を製作中です。 夏にリリースできればいいなと考えています。詳しい話は私のwebサイトと週刊メルマガをご覧下さい。私の本業はアーティストで専門は絵画ですが、物書きと音楽も並行して続けてきました。 実は、スペインではプロのDJを2年以上やっていて、毎週末レギュラーでクラブに出ていました。 このコラムでダンスだけでなく舞台背景、衣装、証明、音楽についても語っているのは、そのためです。今後とも、よろしくお願いします。


●カナダ国立バレエ団の『ザ・コントラクト』

4月5日から9日まで、BAMにて、カナダ国立バレエ団(National Ballet of Canada)の『ザ・コントラクト』の公演が行なわれました。芸術監督と振付は、ジェームズ・クデルカです。 彼は、72年にトロントのカナダ国立バレエ・スクールを卒業し、カナダ国立バレエ団に入団しました。 その後81年にモントリオールのル・グラン・バレエ・カナディアンにプリンシパルとして入り、84年から90年までそこで振付家として活躍しました。 そして96年からカナダ国立バレエ団の芸術監督を務めています。彼の作品の特徴は、伝統的なクラシック・バレエとモダン・ムーブメントの融合です。彼は70作品以上のバレエを創り上げました。

 今回のバレエ作品は、ネズミを退治した笛吹きに、街中の子供たちが付いて行ってしまう『ハーメルンの笛吹き』をもとにしたような作品です。 舞台セットは、コニュニティーホールの子供たちの、公演準備の様子で、舞台中央に小さなステージがありました。衣装は、子供たち、青年ともに、学校の制服でした。 音楽はオーケストラの生演奏です。オペラのようなコーラスも時々入っていました。その両親や大人たちも、黒っぽいスーツなど、地味な服装です。振付は、主にクラシック・バレエの動きがベースになっていました。

ダンサーたちの踊りは、さすが、安定していて、見応えがありました。子供たちも多く出演していました。
子供たちは、舞台上の小さなステージで、『ハーメルンの笛吹き』を演じました。ネズミの害に悩まされていた街に笛吹きが来て、街中のネズミを遠くにつれていってくれて、すべてのネズミが消えました。 しかし、その笛吹きが戻ってきて笛を吹き始めると、今度は街中の子供たちが彼について行ってしまい、子供が街から消えてしまいました。

そして椅子が片付けられて、パーティー。みんな輪になって踊り始めました。そこに、コミュニティーからしばらくどこかに消えていた若者が久しぶりに帰ってきました。
そこに、見知らぬ女性がコニュニティーに入ってきて、物語が展開していきました。最後は、この見知らぬ女性が、冒頭の『ハーメルンの笛吹き』の衣装を着て通り過ぎて、 コミュニティー中の子供たちがついて行って、どこかに消えてしまいました。


●マーク・モリス・ダンス・グループの5つの小品集

 4月19日から23日まで、BAMでマーク・モリス・ダンス・グループの公演が行なわれました。 マーク・モリスは56年シアトル生まれで、80年に自らのマーク・モリス・ダンス・グループを創立し、100以上の作品を創作しました。本拠地はニューヨークです。 88年から91年まで、ブリュッセルの王立モネ劇場のダンスのディレクターを務めました。90年には、ミハイル・バリシニコフと共に、ホワイト・オーク・ダンス・プロジェクトを創立しました。 彼は、現代のアメリカを代表する振付家で、数多くのダンス・カンパニーに振付を提供しています。地元のコンテンポラリー・ダンサーたちの間では、彼は絶大な人気を博しています。

 今回の公演は、5つの小品集です。音楽はほとんど生演奏でした。最初の『フロム・オールド・セビージャ』は、コメディー風のふざけたフラメンコでしたが、マーク・モリス本人が出演して踊っていました。 ダンサーは女性と2人でした。“なにか、ダンサーにしてはお腹の出た、とても太った男性が出ているなあ、なぜかなあ”と思っていましたが、プログラムを見ると、彼がマーク・モリスでした。 現役ダンサーを引退してディレクターになると、お腹が出てくるのですね。ギャグで、大げさな振付や、何度もカッコつけて行ったり来たりする彼を見て、観客は大笑いして受けていました。

 2つ目の作品の、『サンバディーズ・カミング・トゥー・シー・ミー・トゥナイト』が、一番よかったです。 93年の作品です。オーケストラの生演奏と、ソプラノ、バリトンの歌もあり、9曲で構成されていて、音楽もとても良かったです。振付はクラシック・バレエがベースになっていました。 ジャンルで言えば、コンテンポラリーです。シンプルですが、メロディーとリズムに合った、面白い振付でした。例えば音に合わせて、3人くらいが互い違いに同じ動きを重ねていったり、 独特な動きの、ゆっくりした個性的なものです。自由で、詩のような踊りでした。とても明るく、ファニーな感じが伝わってきましたが、これは、マーク本人の人柄が表れているのでしょう。

 他の作品も、全体的に、似たような感じの振付でした。彼のカラーが強く表れていると思います。急に止まったり動いたり、とてもメリハリのある動きが多いです。
 

 

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