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インタビュー

Chacott Chacott コラム

2013.7.23 UP

No.01:スターダンサーズ・バレエ団 総監督 小山久美

スターダンサーズ・バレエ団 小山久美

映画やミュージカル、演劇などなど。「はじめての鑑賞」、子ども達の反応が楽しみですね。
この夏、お子さんの鑑賞デビューをしようかな、と考えている方におすすめするのが、今年で39回目を迎える「日本フィル夏休みコンサート」。
毎年恒例のこちらのコンサートですが、今年は第2部でチャイコフスキー・バレエ『くるみ割り人形』も上演されます!
映画にくらべて、ちょっと敷居が高そうな!?バレエ鑑賞デビューも、こちらのコンサートではお子さんはもちろん、ママ・パパもきっと楽しめますよ♪

その見どころを、スターダンサーズ・バレエ団・総監督の小山久美さんにお聞きしました。

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公演詳細はこちら→「2013日 本フィル夏休みコンサート」

★「きいて、みて、うたって」最後まで、飽きずに観られる3部構成

第1部ではオーケストラのさまざまな音色と表情が楽しめる名曲の数々をじっくり聴いて、第2部ではバレエ『くるみ割り人形』を観て、最後の第3部では「さんぽ」や「うみ」など、子ども達も知っている曲で、ステージと客席が一体になって音楽の楽しさを分かち合う、このコンサートならではの構成です。

 

小山「客席から見ていると、絶対お得なコンサートだな、と思います。最後にみんなで歌うのが本当に楽しそうで、オーケストラの伴奏でね。司会の方の持って行き方とか、楽員さんたちのコンサートに対する取り組み方とか、先輩格のオーケストラだけあるんじゃないかな、と思います。
本来はね、オーケストラとしては聞いてもらいたい曲、オケとしてやりたい曲は別だろうし、私達だってこれだけじゃないけれど、まず知ってもらうことから。あの時みたってことが、心の中に残っている人たちがきっと全国にたくさんいらっしゃるんじゃないかと思います」

 

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★コンサートのなかで観るバレエ、ハイライト版で楽しく!

バレエが取り入れられた当初は、コンサートの中でオーケストラの楽曲に華を添えるような存在で、組曲などの一部分を踊られていたそうです。それが2005年のコンサートで上演した『シンデレラ』の時に、新しいものを作ろうという試みで、バレエ団の鈴木稔さん(2013年も第2部演出・振付)が、曲の構成からオーケストラと一緒になって作り上げ、現在のスタイルになったそう。
いままでにも『シンデレラ』『白鳥の湖』をコンサート用にハイライト版で上演してきたスターダンサーズ・バレエ団。ステージ上にはオーケストラ、その前の限られたスペースでバレエを踊るそうですが、試行錯誤しながら作り上げてきたノウハウで、コンサート空間の限られた設備・装置の中でありながらもしっかりストーリーを味わえる演出に。

 

小山「お客さまが近く装置もない、袖すらちゃんとした形で使えないので、ダンサーにとっては厳しい部分があります。照明の効果も何もないですから、かなり勝負をしないと。ダンサーもですが特に演出は、子ども達が飽きないように余分なものを全部そぎ落とした、シンプルでなおかつ内容を伝えるということが求められるので、この経験で鍛えられて成長しているんじゃないかな、と思っています」

 

オーケストラとバレエが同じ舞台上にいるからこそ、の演出も。ダンサーとオーケストラとの絡みがとっても面白いそう。
子ども達がバレエの美しさに見とれる部分と、オーケストラの音楽聞く部分と、ちょっとくすっと笑うような部分が、うまくマッチングするように作られた、まさに子ども達が楽しむための舞台!

 

小山「あれ、みんな嬉しそうよ。『シンデレラ』ではね、シンデレラが靴を落として王子が探しに行くシーンで、オケの方をちょっと立たせて履かせて、違う!ってね。『くるみ』は今回観ていただけたらと思います」

 

転機になったという2005年の『シンデレラ』。コンサートでの上演の後には、スターダンサーズ・バレエ団の新しい『シンデレラ』も生まれたそうです。

 

小山「日本フィルさんと初めて『シンデレラ』をやった時、わたし客席で子ども達を連れてきたお父さんが涙してるのを見たんですよ。結末がちょっと泣かせる部分がありまして。それでこれはいけるんじゃないかと思って、フルバージョンを作ろうと言ったので、もしかしたらこちらがなかったらあの『シンデレラ』は生まれてなかったんじゃないかと思います」

 

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★2005年にはコンサートをゴールにした「シンデレラ・プログラム」というワークショップも

体育館に、楽団員と実際に夏休みコンサートに出るダンサーが6名来て、それぞれのプロフェッショナルなスキルを活かし、子ども達とあるシーンの音楽とバレエを一緒に作り、それを合体させて『シンデレラ』の12時のシーンを作ったそう。
自分たちで作ることで、プロコフィエフの『シンデレラ』という作品にアプローチする、という子ども達にとっても新たな試みだったそうです。

 

小山「日本フィルさんがエデュケーション・プログラムをやってらっしゃるって伺って、そういう世界があるんだ、と。この時、バレエのワークショップも初めて声をかけていただいてやったんです。
『シンデレラ』のタンターンタタン・・・ていう曲(第38曲 真夜中)が12時の鐘のドキドキのところなんです。それはミ・ラ・シ・ミの4つの音、3つというか。ミラシミシララミラシって。これだけの、この音だけを使って曲を作るっていう風にやりました。その音だけで子ども達が作って、動きは私達が初めてだったので本当に試行錯誤してやりました。
とにかく終わったと、その後にプロコフィエフの本当の曲を聴かせたんですよ。私ね、その時の子ども達の事が忘れられなくて。すごくね、何て言うんだろう、ジーンときてるなっていう顔つきで聞いてたの。自分たちが取り組んできた3つの音だけで、こんな曲が出来るんだっていうのが、子ども達にもこれは伝わってるな、分かってるなって。プロコフィエフなんてそんな耳に優しい曲じゃないので、ただこれを聞かせてたら絶対素通りだと思ったの。子ども達の様子を見たら、言葉で教育、本で教育するだけじゃないものが確実に何か入ったなっていう気がしたんです。
いまそういう方向で働いているきっかけを、あの時にいただいたんです。ずーっと残ってますね」


 

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★最後に「バレエを始めるとどんないいことがありますか」お聞きしました!

小山「案外、間違った印象をお持ちの方もいらっしゃるんじゃないかと思います。コンクールのこととか発表会のこととか。お稽古場によって考え方が違う部分もあるでしょうけど、コンクールや発表会のことばかりではなく、バレエに取り組まれるのには、余計な考え方はなしで始められたらいいのではないかと思います。

バレエを始めてからのいいことは、大きな意味から小さな意味までいろいろあります。
大きな意味ではバレエ以外でも同じことがいえますが、何かを習う、そして聞いたことを自分の身体を通して出すっていうこの作業は、非常に重要なことだと思います。
分かった分かった、って言っても分かったように見えないというのは、大人になってどんな社会でもやっぱり通用しないもの。頭に入れたことをちゃんと身体を通して表わす、これは一つのトレーニングだと思います。受け止めること、発信することを、ちゃんと両方が必要で、バレエは言葉に頼れないので、より純粋なところでそれをつかむことが出来るんじゃないかと思います。これはバレエじゃなくても起こることだと思いますが。

もっと狭くしていくと、姿勢ですとか。バレエは美しさを求めるものですから、やっぱり美しくないより美しい方がいいですから。そして、音楽に合わせて踊るっていうのは元々人間の本能で、踊ることが本能って言われていますから、音楽に合わせて踊ることは楽しいと思います。そいうことを経験できますね、情操教育的なことも含めて。
子どもって、いろんなことを通して人間としての基礎的な力を学ぶのだと思うんですね。先生の言うことを聞くのももちろんですし、バレエは個人競技ではないので、お友だちとも一緒にできます。それからお友だちとお稽古場でいいあんばいで並ばなくてはいけないし、ちゃんと動きながら人にぶつからないように周りにも気を配らなくちゃいけない。大体バレエはいくつものことを考えないとできません。そういう、注意をいろんなところに分散させるトレーニングって、とても大事なことです。

身体を動かすという意味では、左右がまったく均等、全て対称な動きをしますから、右左だけじゃなく、前も後ろもある。他のスポーツではだいたい利き腕があったり、ひとつの方向だったりするので、こういうバランスのいい動きっていうのはあまりないのではと思います。そういう意味で、本当にバランスよく身体を使うことができると思います。
私自身は子どもの頃、なかなか目を上げて踊ることが出来なかったんです。でも、やっぱりそれをしなくちゃいけないし、もしもそういう性格のお子さんが普通の場でなかなか出来るようにならなくても、バレエで出来るようになる可能性の方が高いかもしれない。そしてそれが別のところでも役に立つかもしれない。
子どもって、いろんな分野で成長の度合いが違いますよね、全部が一緒に伸びていくわけではなく、苦手でなかなか出来ない部分があったり、出来る部分があったり。何かバレエでやっていることが、遅れがちな部分を引っ張ってくれる可能性があるような気がします。
人の前でやらなくてはいけないし、人に伝えなくてはいけない。自分がやっているだけではダメで、人に分かる様にしなくてはいけない。芸術は何でもそうかもしれませんが、こういうところも良いのではないかと思います。

そして、いまの子どもたちのことでいうと、本当に身体を動かさなくなっているのかな、という危惧があります。ゲームをやっている子が多いですし。公園で走り回ったりとか、ブランコから飛び降りるとか、高いところから飛び降りたとかしたことないのではないかしら、と心配です。ちょっと今の子どもたちをみていて、身のこなしというか基本的な運動神経というか、今までは子どもの時に蓄積されていたようなこと、たとえば身体の重みを使ってうんてい(雲梯)とかやっていましたよね、登り棒にしてもね。
バレエはテクニックはもちろんありますけど、やっぱり基本的な能力、自分の重みを使って何かやるとか、当然必要なんです。そういう部分がちょっと頼りないお子さんが、昔もいましたけど、増えているんじゃないかしら。だから、それだったらますます、お稽古事としての方が身体を動かすのであれば、ちゃんと左右均等にやりますし、柔軟性もやらなくてはいけないので、そういう意味での心配もありますから、バレエを習ってみてはいかがですか、と思います」

 

バレエのさまざまな面からの魅力をお話いただきました!
スターダンサーズ・バレエ団との長い歴史の中で進化してきた「日本フィル夏休みコンサート」、とっても期待できますね!!
ぜひ、お子さんと、ママもパパも素敵な舞台をお楽しみください♪

区切り

公演詳細はこちら→「2013日 本フィル夏休みコンサート」